AGC

AGCセラミックス株式会社

RECRUITING
3Dプリンター用セラミックス造形材 BRIGHTORB ブライトーブ

セラミックス造形材は3Dプリンターで鋳型の未来とデザイナーの自由な設計の可能性を拡げる

次世代技術として注目を集め、今後さらなる成長が見込まれる3Dプリンター市場。
AGCセラミックスは、3Dプリンター用造形材※Brightorb™️を開発し、この魅力的な市場に参入しました。まだ数少ない競合のなかで「鋳型をプリントできるセラミックス造形材」「デザイナーの自由な設計を形で表現することが可能なセラミックス造形材」として、新しい事業領域への拡大を目指した挑戦が続いています。
※造形材:3Dプリンターによって立体物を積層造形する材料のこと

Brightorb™️️を用いた造形の流れ

3Dデータを入力→3Dプリンターで造形→造形物を取り出す→表面を強化する・薬剤に浸す→窯で焼き固める

Brightorb™️は、AGCセラミックスが提供している3Dプリンター専用造形材です。主に、極微粒(約50μm)の人工セラミックスビーズと、水分を加えて硬化する独自の無機硬化材からなる混合粉末の製品です。
Brightorb™️で立体物を造形する際は、CADなどで作図した完成品の3Dデータを準備します。この立体図面上でスライスした断面データを3Dプリンターに読み込ませます。Brightorb™️は、粉末積層方式によって一層が0.1㎜の厚さで敷かれ、層ごとに紙の印刷機と同じように断面にプリンタヘッドから液を吐出してプリントします。この液は水を主成分とした硬化液です。
プリントされた部分だけが硬化し、その上にBrightorb™️の層を重ねて敷き、二層目をプリントする……という工程を繰り返して、3Dデータの立体が造形されていきます。

Brightorb™️️を用いた3Dプリントの仕組み

3Dプリントの仕組み

ローラーでBrightorb™️を0.1㎜の厚さにならし、造形物の断面図データを一層ずつ印刷。これを繰り返すことで立体を造形する。

セラミックス造形材が拓く金属鋳造の新時代

3D造形市場は年率20%以上で成長を続けています。最大の市場は欧米ですが、ものすごい勢いで中国が追随しています。材料は、樹脂、金属、セラミックスがありますが、セラミックスは、最後にスタートし、これから期待の市場です。
なかでも大きな期待がかかっているのは、ステンレス鋼、特殊鋼など溶けた金属を流し込んで鋳造する「鋳物用の型」です。先端技術である航空宇宙分野、自動車分野の内燃系部品などでも開発が進められている複雑な立体部品にも拡大しています。従来の鋳型は、最初に完成模型をつくって、砂を押し込めて型を作る製法が一般的だったため、複雑な鋳型を作ることは困難でした。一方、3Dプリンターを使うとどのような複雑な形状でも造形できます。
これにより、鋳物の金属量を抑え軽量化する鋳型の設計ができ、試作品にかかる時間が減り、コストも格段に下げることができます。さらには、従来の木型・金型が減り保管スペースが不要になるなどの効果も出てきます。
現在、市場に出ている3Dプリンターは樹脂や石膏の造形材が主流ですが、高温の溶融金属を流し込む鋳型造形とはあまり適合していません。また、鋳型専用3Dプリンターは一部の企業で販売を行っていますが、非常に高価な機器ばかりです。AGCセラミックスは、比較的安価な汎用3Dプリンターを使ってセラミックス鋳型を造形できるBrightorb™️を開発して2017年4月より販売を開始し、現在、自動車用部品などを手がける鋳造メーカーを中心に採用が拡大しています。

既存技術の融合から生まれたイノベーション

Brightorb™️は、AGCセラミックスのアディティブマニュファクチャリング室(以下AM室)で開発されました。この部署はセラミックス溶融技術によって生まれたセラミックスビーズ「FINE- Bz®」の製造と販売を行っています。このビーズを鋳型材料として利用する鋳造メーカーから「より手軽に、より複雑な鋳型を造形したい」というニーズがあり、3Dプリンターのセラミックス造形材として大きな可能性があることが見えてきました。
AM室が着目したのはAGCセラミックスのロングセラー製品でもあるアルミナセメントでした。セメントは水分を加えて水和硬化しますが、なかでもアルミナセメントは高い材料安定性と耐火性をもっているため、高温の溶融金属と接触する鋳型造形には最適な材料でした。このアルミナセメントをFINE-Bz®と組み合わせて生まれたBrightorb™️は、インクジェット方式の3D プリンターに適用可能で、複雑な形状の鋳型も手軽に造形することが可能となりました。
Brightorb™️のネーミングは「Bright(光り輝く)」と「Orb(宝珠)」を組み合わせた造語。既存の技術を融合させることで、時代が求める新たな価値を生み出すことに成功しました。

企画・販売 /マーケティング

企画・販売 / マーケティング メンバー

アナログからデジタルに変化する生産現場の市場を切り拓く

耐火物メーカーであるAGCセラミックスにとって、Brightorb™️は前例のない製品です。デジタル化の流れに従い、鋳物・鋳型業界にも3Dプリンターの導入が加速しています。またこのBrightorb™️の造形体を焼結させ釉薬を掛けることで、従来製造不可能であった高精度の陶器を製造する技術を完成し、デザイナー × 3Dプリンターというコラボレーションにより、アート表現により、Brightorb™️の価値をどのように訴求していくべきか、企画・販売/マーケティングが密接に連携して戦略を練っています。

アート表現

3Dプリンターは生産のあり方を大きく変えていく技術と認知され、年率20%以上の速度で拡大していますが、多くの生産業者にはその具体的なビジョンが見えていないのが実情です。私たちはBrightorb™️を切り口として、お客様に寄り添って未来の生産ソリューションを提供していきたいと考えています。これまでの活動で、基本技術の開発は完了し、ビジネスモデルも具体化したので、これからはBrightorb™️を実際の物作りに適用し既存製法からの革新を実行するステージに移行しています。

製造・設備技術

具現化した製品の課題解決に向けて挑戦を続ける

製造・設備技術 メンバー

製造・設備技術・造形技術の熟成に、AM室、生産イノベーショングループなどの幅広い人員で取り組み、現在は、大型プリンターで実現する大型造形物への対応と、販売増大に対応するために製造設備を拡充することが課題です。
Brightorb™️を世界中のお客様にご愛用いただくために、より高品質の製品にブラッシュアップするため、多岐に渡る製造設備を急速に充実させています。
新規事業では、従来認識しなかった課題が多発します。例えば、Brightorb™️を構成する微細な球状粒子の粒度の差異が思わぬ強度のばらつきに直結したり、季節による強度変動が生じたりします。このような新たな課題の解決には、従来から保有していたファインセラミックス製造や、不定形耐火物の製造によって培った設備技術が活用できる事も多く、既存ビジネスの強みが頼りになります。

開発・技術営業

Brightorb™️の未知の可能性を信じて

開発・技術営業 メンバー

開発・技術営業は、Brightorb™️の開発・改良・用途開拓を行っています。アルミ、鋳鉄、鋳鋼など、用途に合わせてセラミックス粒子の合成や機能材料の研究・開発を行い、最適な造形鋳型を提供しています。現在では当初の目標市場であった、砂型鋳造から、精密鋳造に用途が広がり、さらに複雑な意匠性陶器(→直近ダイレクト製品写真手配中)の市場へと広がり、これに伴い、材料への新たな要求が生じ、開発課題はつきることがありません。
航空・宇宙・自動車・産業機器に適用される鋳造部品の高精細化、軽量化、新形状などのさまざまな需要に応えるため、「3Dプリンター用造形材といえばBrightorb™️」といわれる様な存在になりたいと思います。
Brightorbは初期の探索ステージから、お客様が製造に使用するステージに移行しており、これに伴い新たな課題も発生しています。Brightorbは無駄なく循環使用できますが、数十回使用すると品質が変化し、長期的な品質確保も重要な課題となってきました。これらの課題解決には、他部署も巻き込んだOne Teamでアイデアを出し合って、解決しています。 AGCセラミックスは環境メンテナンス・ガラスエンジニアリング・セメントの3事業が中心に構成されていますが、それぞれが差別性のある新しい機能製品を求めています。この3D造形材ビジネスは、将来、これら既存ビジネスと連携した商品を生み出すことも期待されており、その使命感に燃えて、将来はこの3D造形の事業をAGCセラミックスの新たな柱として確立させます。

ビジネス領域は「モノ」 から「コト」へ

AGC セラミックス株式会社 事業開拓室長 牛丸 之浩さん

3D造形はモノづくりを根底から変革し、インダストリー 4.0※への貢献が期待されています。また「高純度化溶融技術により生産される微細な球状粒子」を主要材料とするBrightorb™️ は、AGCセラミックスの強みを最大限に生かした商品で、私たちはこの組み合わせにビジネ スチャンスを感じています。
3D造形は新たな技術であり、ビジネスの広がりは無限です。ビジネス領域を材料からシ ステム・サービスに広げることで、新たなビジネスモデルの構築にもつなげていくことができるのです。
この新しいビジネスを成功させるためには、お客様を含めた多くのパートナーの協力が必要です。特にお客様とは、夢を共有して製品や生産プロセスの革命を実現していくことが成功の鍵になると考えています。
Brightorb™️の開発に取り組んで4年が経ち、この間に3D造形市場への理解が深まり、その魅力は拡がっています。夢の実現には従来にない新たな発想や能力が必要です。AGCセラミックス全体の若いエネルギーを巻き込んでいかなければならないと感じています。

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